「うわ、会話が続かない…」お話し上手さんが教える、気まずい沈黙への対処法の正解

「会話中に沈黙が続くと、焦って空回りしてしまいがち」

二人きりで会話をしているとき、会話がスムーズに続かず、沈黙が重いと感じてしまう。
みなさんの中にも、過去にそんな経験をしたことがある人が、おそらくたくさんいらっしゃるでしょう。

沈黙の重さに耐えられず、ここちらから話題や質問を振っても、相手から一言、二言しか返事が戻ってこなくて、会話がとぎれとぎれになってしまう。
焦って頭の中が真っ白になり、何を話したらいいかわからなくなってどうでもいいことを口走り、空回りし、自己嫌悪に陥る。あるいは、人見知りだったり緊張したりしていて、相手から振られた話や質問にうまく答えることができない。

そのようなとき、いったいどのように対処すればいいのでしょうか。

 

まずは「沈黙はよくない」という思い込みを捨てる

「会話が続かなくても仕方ない」「多少沈黙の時間があってもかまわない」と思うように考えを変えてみるのはいかがでしょう。

会話が続かなくて焦ってしまうのは、たいてい、沈黙の時間を「気まずい」と感じたり、「会話を続けられない自分は、つまらない人間だと思われてしまうのではないか」、もしくは「相手につまらない思いをさせてしまっているのではないか」といった気持ちがあったりするためです。
しかし、気まずいと思っていると、余計にその沈黙が気まずいものに感じられてしまいますし、たかが5分や10分、沈黙の時間ができたからといって、あなたという人間の価値が損なわれるわけでも、相手の人生に何か大きな影響が生じるわけでもありません。

会話に対する感覚は、人によって異なります。
人と言葉を交わすのがあまり好きではない人、沈黙がまったく気にならない人も、おそらく世の中にはたくさんいるでしょう。

「もしかしたら、今、会話している相手もそういうタイプなのかもしれない」と勝手に想像し、決めつけてしまえば、「何か話さなきゃ」と焦っているときよりも気持ちが楽になるはずです。
「会話は二人の共同作業、共同責任。会話が続かないのは、私だけのせいじゃないもんね」と心の中で開き直ってもいいかもしれません。

とにかく、まずは「沈黙は良くないことだ」という思い込みを手放すこと。

そうすれば、多少の沈黙は気にならなくなるでしょう。焦る気持ちがなくなれば、自然と話したいこと、相手に訊きたいことなどが頭に浮かんでくるかもしれませんし、相手から振られた話題や質問に、ある程度リラックスして答えられるようになるかもしれません。

 

人によって会話に対する感覚は異なる

さて、一言で「会話が続かない」といっても、さまざまなパターンがあります。
代表的なものとしては、

① 片方の人が、実際に会話があまり好きではない人や、沈黙が気にならない人である場合
② 知り合ってまだ日が浅く、共通の話題が少ない場合
③ 片方の人が、会話を広げるのが苦手な場合
④ 片方の人が、もう片方の話や態度にうんざりしている場合

などがありますが、それぞれのケースごとに考えてみましょう。

まず、①の場合。すでにお伝えしたように、人によって、会話に対する感覚は異なります。
何度か会ったり、しばらく話したりしているうちに「ああ、この人、そもそも会話があまり好きじゃないんだな」とか「沈黙がそんなに気にならないんだな」とわかったら、無理に会話を続ける必要はありません。

景色を眺める、自分の好きなもののことを考えるなど、自分なりに沈黙を楽しみつつ、「どうしても話すべきこと、訊くべきことが頭に浮かんだら口を開く」、あるいは「相手から話題や質問を振られたら口を開く」程度にしておくといいでしょう。最初のうちは「本当にこれでいいのかな」と不安になるかもしれませんが、何事も少しずつ慣れていくものです。

ただ、相手がそういう性格だということがはっきりするまで、多少時間はかかります。
関係性にもよりますが、場合によっては「割と二人で話してるとき、沈黙が流れがちだけど、大丈夫?」などと訊いてみるのもいいかもしれません。
「ごめん、話すのあまり得意じゃないけど、楽しんでるよ」「そんなに沈黙流れてた? 結構話しているつもりだったけど」などの答えが返ってくれば、相手の会話に対する感覚がわかって、不安がある程度解消され、いたずらに焦ることもなくなるのではないでしょうか。

 

相手から話や質問を振られたら、何か一つプラスして返す

次に、②の場合は、「相手のことを知る」ことを会話の目的にしてみるといいかもしれません。
知り合ってから日が浅いのであれば、むしろ、訊くべきことは山のようにあるはずです。
インタビュアーになったつもりで(ただし、うっとうしがられないように加減をしながら)、いろいろと話を聞いてみましょう。

 

そして、③の場合。
みなさんの中には、人見知りで緊張しやすい性格だったり、もともと会話が苦手だったりして、相手から会話や質問を振られても、とっさに話を広げられない人もいるでしょう。

そのような場合も、「ちゃんと答えなきゃ」と思うとますます焦ってしまいますし、「またうまく答えられなかった」「また会話を途切れさせてしまった」などと思うと、自己嫌悪にも陥ってしまいます。

ですから、まずはやはり、「沈黙は良くないことだ」という思い込みを手放手放し、焦りや自己嫌悪を遠ざけること。
そのうえで、相手から振られた会話や質問に対し、自分の答えと共に、関連する質問か情報を何か一つプラスして返すことを心がけるといいかもしれません。

ごく簡単な例を挙げましょう。
あなたがAさんから「どちらにお住まいですか?」と訊かれたとき、「●●区です」とだけ答えると、会話はそこで止まってしまいます。しかし、「●●区です。Aさんはどちらですか?」と質問をプラスすれば、とりあえず一度、ボールを打ち返すことができます。

それに対し、Aさんから「●●市です」という答えが返ってきたとき、「ああ、そうなんですね」とだけ答えると、やはり会話は止まってしまいます。しかし、「●●市ってどのあたりにあるんですか?」「前に行ったことがあります」「友人が住んでいます」など、何でもかまいませんから、相手の答えに関係する質問や情報をプラスすれば、もう一度ボールを打ち返すことができますし、相手もそれを受けて、次にどんな球を投げるかを考えることができます。

会話は共同作業です。必要以上に沈黙を恐れることはありませんが、とにかく「何か一つ、関連することをプラスする」だけで、かなり会話が成立するようになるでしょう。それを続けているうちに、会話に抱いていた苦手意識を克服できるようになるかもしれません。

 

あなたは思った以上に話しすぎているかもしれない

問題は④です。

この場合、片方が自分の話したいことばかり話していたり、かつての私のように、「何かしゃべらなければ」と焦りすぎて、相手にとってはどうでもいいことばかり話していたりする可能性があります。

相手が沈黙しているのは、もしかしたらあなたのことを「よく話す人だなあ」「どうでもいい話ばかりしているなあ」とうんざりしているせいかもしれません。その状態で、「沈黙を作らないようにしなきゃ」と、さらに自分ばかりが頑張って話しても、相手をますますうんざりさせ、会話を空回りさせ、相手の沈黙を長引かせることになってしまいます。

特に普段よく話す人は、少しの沈黙にも耐えられなかったり、自分が話しすぎていることに気づかなかったりする傾向があります。

もし「会話が続かないな」「会話が空回りしているな」「相手の反応が悪いな」と感じたら、試しに「話さなきゃ」「沈黙を作らないようにしなきゃ」という気持ちを抑え、話すのをやめてみましょう。あなたと話したいという気持ちがあれば、いずれ相手のほうが口を開くはずです。それを辛抱強く待つのです。そして、相手が話し始めたら、話を遮らないこと、適度で適切なリアクションを返すことなどを心がけ、とにかく「良い聞き役」に徹してみてください。

あなたが話すのをやめることで、ずっと沈黙が続いてしまうこともあるかもしれませんが、会話をする気がない相手に無理矢理話しかけ、ますますうんざりされるよりはマシだと、私は思います。

なお、相手の口数が少ないのは、たとえば「何を話してもネガティブなリアクションばかりが返ってくる」「話を聞きながらスマホばかりいじっている」など、あなたの話し方や話の内容、話すときの態度などに不快感を抱いている可能性もゼロではありません。
「誰と話していても、いつの間にか相手の口数が少なくなっている」などの心当たりがある人は、 自分が人の話を聞くときの態度などをセルフチェックしてみてください。